上野の森美術館で開催された「怖い絵展」へ、誘われて行ってきた。
(個人的にはお隣の「北斎とジャポニスム展」のほうが気になっていたけど)
ぱっと見の怖さじゃなくて、その絵画の背景を知ったときに感じる怖さが、テーマ。
会場は全部で6章にわかれて、カテゴリーごとに作品が展示されている。
私がまず興味を引かれたのは、第5章「崇高の風景」。
なぜかというと以前、オンライン学習サイトgaccoで「今だからこその江戸美術」の講座を受講したときに、葛飾北斎が影響を受けたという西洋のピクチャレスクを、どういう因果か江戸美術よりもがっつり勉強したので。
ピクチャレスクでは、サブライム(崇高)を題材とするんだけど、ここでは割愛。
とにかくネットの動画講義なので、絵画がよく見えなくて…
一度でいいから、ちゃんとこの目で見てみたかったのだ!
これは、ジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナーの「ドルバダーン城」。
なるほど、これがサブライムか…。
たしかに見ていると、暗澹とした気分になった。
クラスに一人はいるような、ちょーーー根暗な子と話してると、会話もままならない、そんな居心地の悪さみたいな…
あるいは、見終わったあとにドッと疲れるようなこの感じは、フレネミー女にマウントされた日の帰り道に感じるモヤモヤに通づるような…。
次元が違うけど。
これも恐怖、怖いといえば、怖いのかな…
(右下の男性にこれまたストーリーがあるから、気になるひとは調べてみてね)
それから、個人的に最も衝撃的だった一枚がこちら。
チャールズ・シムズの「クリオと子どもたち」。
これだけ見ると、あー子どもたちに読み聞かせをしてるのねっていう牧歌的な絵なんだけど、
よくよく見ると、右側の女神クリオの巻き物に、赤い血が付いてる…!
のどかな風景におよそ似つかわしくない、突然のグロさ。
ギャップすごない??😨😨
美術館を出たあとも、脳裏に強烈に焼き付いて離れなかった。
調べてみると、
シムズは第一次世界大戦で息子を亡くした時、血を描き加えたという。歴史が血塗られていると絶望したのか、シムズは十数年後に精神を病み自殺する。もとの絵が明るく優しい雰囲気であるだけに、含まれる闇がいっそう際立つ。
もとの絵が完成したのは1913年。
加筆した翌年の1914年は、世界が一変した年…。
そうか、私がいちばん怖いのは、大事なひとを亡くすことだな。
神話とか地獄とか自然とか、いろんな題材がある中で、何よりも怖かったのは人間の業の深さ、っていうオチでした。
最後に、もう一点だけ。
ヘンリー・ヒューズリの「夢魔」。
眠っている女性の上にいるのは、夢の中で女性を犯す薄気味悪い怪物。
これだけ言わせてほしい。
ぜ、ぜんぜん怖くないわ…!
(むしろ興奮する)
深夜3時の考え事
you are what you eat.
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